可笑佳品集について

 

 『可笑佳品集』は、黄表紙作者・伊庭可笑の作品を選りすぐり、毎回一作品を電子書籍の形で、皆様にお届けするシリーズです。

 黄表紙が全盛期を迎える頃、可笑は三十八ほどの黄表紙作品を残しました。可笑については、数少ない資料から知れるのみですが、そこからうかがえる、彼の黄表紙への思い、そして、親しみやすいその作風に、時代を超えて共感できる魅力があります。何より、わたくし(游古庵てんてまり)が黄表紙に親しみ、絵草紙風絵本を創作するきっかけとなりましたのは、可笑の作品です。

 本シリーズでは、黄表紙を初めて読まれる方、そして、馴染みのある方にも、その魅力をお伝え出来ますよう、原本の画像とともに、現代語訳とくずし字の翻字、語釈、そして、絵解きのコーナーを付しました。

 本シリーズは、「アマゾンのKindle出版」で販売しております(1冊500円です。また「Kindle Unlimited会員」の方は読み放題となっております)。

 どうぞ、本シリーズをご覧いただき、可笑の黄表紙をお楽しみいただけましたら幸いです。

 

 

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『可笑佳品集一 化物仲間別

 

游古庵てんてまり 編

十与坊先生 監修

2025年8月7日 発行

 

 可笑佳品集シリーズの初めとして『化物仲間別』(天明三(一七八三)年、岩戸屋刊)を収めました。

 『化物仲間別』では、化物の親玉の座をめぐり、狐・狸と見越入道の争いが描かれます。黄表紙には、化物を描く作品が多く、その内、本作品のように、化物同士が争うものはいくつか見られます。その中で本作品は、可笑らしく明快で、また、化物たちの争いの話でありながら、作品全体におっとりした空気が流れ、絵の面白さもあいまって、心置きなく楽しめる内容となっております。

 

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